リシャール・ミルコレクションの中でも不動の人気を誇る『RM 11-03 Automatic Flyback Chronograph』。
カーレースに因んだアイデアが凝縮されたモデルであり、車好きなリシャール・ミル氏の想いが汲み取れるデザインとなっている。
モデル誕生の背景、搭載された複雑機構
2004年、当時フェラーリのドライバーを務めていたブラジル人F1ドライバー、フェリペ・マッサをリシャール・ミル史上最初のパートナーとして迎え入れた。
こうして、2004年にフェリペ・マッサの名を冠した初代モデル「RM 006 Tourbillon Felipe Massa」が誕生。
レース中も腕に装着し、レース中の振動や衝撃にも耐えることができる時計をテーマに掲げ、リシャール・ミルとフェリペ・マッサの共同開発と独自の開発手法を確立し、レーシングスピリッツを原動力に、
F1レース中にもタイム計測が行える時計として2007年に『RM 011 Automatic Flyback Chronograph Felipe Massa』を開発した。
タイム計測を行う時計としてワンプッシュでリスタートが行えるフライバッククロノグラフ、1年に1度の修正で済むアニュアルカレンダー、視認性を高めたビックデイトなどこれだけの様々な複雑機構が搭載された時計にも関わらずリシャール・ミルは、F1レースの過酷な環境にも耐えることができる時計を世に送り出したのだ。
レーシングマシンを彷彿させる拘り抜いたデザイン
「RM 011」の誕生から10周年、2016年に『RM 11-03 Automatic Flyback Chronograph』が登場した。
さらに、リシャール・ミルは、大胆かつ多数のレーシングマシンのデザインを時計に施した。
ケースは、ビス部分以外をくり抜いた次世代型トノーケースといわれる「RM 27-01」、「RM 35-01」でも使用された凹凸のあるケースデザインを採用した。
一目見てわかるスポーティかつエレガントで複雑なこの形状は、リシャール・ミルの代名詞というべきデザインであろう。
そしてこの進化は、単純に外見を変えるだけではなく、軽量化と耐久性を強化する役目を担っている。
リュウズは、レーシングマシンのホイールリムとタイヤのトレッドからヒントを得たデザインとなっている。
またそれとともにフットペダルを思わせるような溝を刻んだプッシャーはブラックのカーボンTPT®のガードを備え、レーシングマシンを連想させるアクセントの一つである。
また、リシャール・ミル特有の可変慣性モーメントローターの設計により、オーナーの腕の動きに合わせて主ぜんまいの巻き上げ効率を調整出来る機構を搭載している。
アニュアルカレンダーは、4時位置と5時位置の間にある月表示を囲むようにデザインされた「矢印」型の輪郭によって、視認性が高められ実用性がより高くなりRM 011から数々の機構がアップグレードされた。
さらに、ムーブメント内部のブリッジを究極なまでにスケルトン加工を施し、複雑で、繊細な内部をハッキリと見えるようなった。
通常はこのような加工を施すことで耐衝撃性を損なうことが多いが、リシャール・ミル独自の研究と開発により前作よりも優れた耐衝撃性を実現させたのである。
リシャール・ミルの中でも唯一無二の存在
圧倒的な存在感に、繊細で複雑な内部、一目で見てわかるデザインの『RM 11-03 Automatic Flyback Chronograph』。
F1レースのみならず、誰にでも「日常使い」ができることを想定された実用性の高さと、大型ケースデザインでありながら、ユーザーの手首の動きを妨げないストレスフリーな着用感が確保された、“究極のタイムピース”のひとつである。
そして、今ではブランドを象徴するモデルでありながら、わずか5年で生産終了したモデルでもあり、希少性は非常に高い。
現在でも躍進を続けるリシャール・ミルの原動力となっていることは間違いないだろう。